top of page

糖質制限ダイエットの問題点を考察する

糖質制限ダイエット・・・心不全、急性心筋梗塞・・・死亡

この食事療法を実践して亡くなられた方がいると一部報道で話題になっています。

そもそもどんな食事療法であっても個人個人にテーラーメイドな指導でなくてはいけないのに、医師が一貫してひとつの食事療法にこだわった結果という事です。

糖質制限ダイエットやケトジェニックダイエットでは、糖質・デンプン・炭水化物を制限し、その分のエネルギーを脂質や糖質で補おうという食事療法です。

糖質制限ダイエットやケトジェニックダイエットのストイックな実践によって生じる問題点。それは循環器の問題・脳神経系の問題です。

今回、糖質制限を実施していて亡くなられた方の場合、その背景には糖尿病が存在しています。糖尿病である場合、膵臓機能は低下しています。膵臓機能の低下によってCCK(コレシストキニン)の低下やセクレチンの低下が生じます。

CCKとは「コレ」:胆汁、「シスト」:ふくろ、「キニン」:動かすもの。胆嚢を収縮させ、オッディ括約筋の弛緩を促進し、胆汁排泄を促進します。結果、食材中の脂肪分をミセル化(乳化)させて消化しやすくしています。

結果、膵臓機能低下によりCCKの低下が生じると、胆汁酸分泌の低下が生じます。

胆汁酸分泌の低下により生じる事は脂溶性分子の吸収低下およびシュウ酸の吸収促進です。

シュウ酸は生体内ではカルシウムなどと強固に結合し組織炎を起こす原因になります。また、シュウ酸カルシウムは結石や動脈硬化症の原因にもなります。

脂溶性分子の中でもとくに膵臓機能と関連するのがVKです。VKが膵臓酵素GADを活性し、グルタミン酸をGABAへ変換しています。この働きは脳内でも起こります。

VK欠乏が生じるとGAD酵素活性が低下し、膵臓細胞内グルタミン酸濃度が上昇します。そしてグルタミン酸は膵臓細胞内へ異常なCaの流入を起こします。

膵臓ランゲルハンス島β細胞内へ異常なCaの流入が生じることで、細胞死が起こります。

そして、血糖調節機能が低下し、糖化反応が促進し、循環器系の問題が助長されます。

VDR fok遺伝子にSNP(一塩基変異多型)を持っている場合は、なおさら膵臓機能の低下が起こりやすいと予測されます。

また、膵臓機能低下によりセクレチンも低下します。セクレチンは膵臓から重炭酸塩分泌を促し、腸pHを整えています。セクレチン低下によって、腸pHが下がり腸内細菌叢が悪性化しやすくなってしまいます。

腸内細菌層の悪性化によって、細菌毒の影響やTNFαなどの炎症生サイトカインの体循環量が増加します。そして、動脈硬化や血管病変・循環器系の問題が生じやすくなります。

糖尿病の方の場合、とくに食事療法には注意しなくてはいけません。

ただ単に、「糖質をやめて脂質・タンパク質をとれば糖尿病が治る」なんて思ったら大間違いです。そして必ず遺伝的欠陥を考慮する事が大切です。

もし、MTRR/MTHFRにSNP(一塩基変異多型)を持ち、CBSにはSNPが存在しなかったとしましょう。

この状態は、メチレーション機能へのサポートがなければ確実にホモシステイン濃度の上昇を来たします。ホモシステインは自身でも活性酸素を放出することで周囲組織を酸化させ動脈硬化などの血管病変を起こします。

糖質制限ダイエット・ケトジェニックダイエットでは脂質の摂取割合が増加します。

もしホモシステイン濃度が高かった場合、過酸化脂質の産生が亢進し、更なる血管病変の原因になります。

脂質の過剰摂取はNOS酵素の活性を低下させ、尿素回路の機能を落とし、アンモニアの増加を招きます。

また、それらの食事療法で食事性タンパク質が増加します。

CBSやSUOXにSNPを持っている場合はアンモニア過剰を引き起こすような硫黄転移経路の負担を招きます。

つまり、メチレーション関連酵素の遺伝子にSNPを持ってる場合、糖質制限ダイエット・ケトジェニックダイエットはアンモニアや亜硫酸塩などの神経毒性のある代謝物の増加を招いてしまいます。MTR/MTRR/MTHFRに対してはとくに十分なメチレーションサポートが必ず必要です。

食事療法は万人共通ではありません。

必ずその背景に存在する遺伝的因子を確認する事です。

そして様々なバイオメディカル検査により確認できる事は非常に多いです。

検査・検証・実践・確認は非常に重要なステップです。

当てずっぽうでうまくいくほど人の生化学は簡単なものでないはずです。

ちなみに、SCDダイエットという食事療法が日本の糖質制限ダイエットに近いです。

SCDダイエットとはDr.Sydney Haasによって、セリアック病に苦しんでいる子供達を助けるための試みとして開発された食事療法です。この食事療法は、潰瘍性大腸炎、クローン病、IBS(過敏性腸症候群)、憩室炎、慢性下痢などに苦しんでいる方々のために役立ちます。

*私個人の感想では、SCDダイエットは長期的に実践する食事療法ではなく、あくまで腸内の問題がとくにひどく、その取り組みの第一歩として実践し、腸内の問題が改善するまでの限定的な食事療法として他の食事療法と併用して使用すべきであると考えています。

Featured Posts
後でもう一度お試しください
記事が公開されると、ここに表示されます。
Recent Posts
Archive
Search By Tags
Follow Us
  • Facebook Basic Square
  • Twitter Basic Square
  • Google+ Basic Square
bottom of page