アセトアミノフェンと自閉症
解熱鎮痛剤の成分として、以前はアスピリンが利用されていましたが、その副作用などの問題から、アセトアミノフェンが使用され始めました。
しかし、米国ではアスピリンの代替として、アセトアミノフェンが使用されはじめた時期と、自閉症患者が増加した時期が一致しています。
また、自閉症のお子さんがアセトアミノフェンを服用することで重篤な問題が出現する可能性についても以下で説明します。
アセトアミノフェンとは・・・?
アセトアミノフェン(APAP:N-Acetyl-p-aminophenol)はアニリン系解熱鎮痛剤で、総合感冒剤などに日常広く使用されています。
しかし、一方では、その活性中間代謝産物が中毒性肝障害を起こす薬物でもあります。
アセトアミノフェンは大部分がグルクロン酸抱合や硫酸抱合によって代謝・排泄され、一部が肝代謝酵素cytochrome-P-4502E(CYP2E1)により極めて有害な肝細胞毒性に関与する活性代謝産物NAPQI(N-acetyl-p-benzoquinoneimene)となります。さらにNAPQIは肝細胞内でグルタチオン抱合を受けた後、メルカプツール酸として尿中排泄されます。
NAPQIは肝細胞内でタンパク質を不活性化することにより肝細胞毒性を示すことになります。
自閉症のお子さんは、腸管内にクロストリジア菌の異常増殖が認められることが多いです。クロストリジアの代謝物はアセトアミノフェンの硫酸抱合を阻害します。もともと肝臓解毒フェーズⅡの機能低下が認められる自閉症のお子さんは、なおさらNAPQI産生が亢進します。もちろんグルタチオン抱合の機能も低下していますから、NAPQIの毒性をさらに受ける結果となります。しかも、NAPQIの解毒排泄のために数少ないグルタチオンを枯渇させますので、まさに負の連鎖が生じてしまいます。
自閉症のお子さんが、風邪を引いて、小児科へ行き、小児用アセトアミノフェンが処方されそれを服用させたとします。もしくは市販の小児用アセトアミノフェンを服用させたとします・・・
通常では副作用が出る用量ではなくても、重篤な肝臓への障害が生じ、肝機能低下を起こしかねません。
肝機能低下は胃酸過多を招き、それによって腸のpHが低下し酸性に傾いてしまいます。そして、腸管内ディスバイオーシスの悪化という悪循環を生んでしまうのではないかとも考えられます。
<自閉症患者における毛髪ミネラル検査での偽陰性>
アセトアミノフェンは髪のスルフヒドリル基(SH基)と水銀の反応を阻害します。
つまり、アセトアミノフェの使用により、毛髪中の水銀排泄量が減少し、毛髪ミネラル検査において偽陰性を示すことになる可能性があるのです。
摂取された全てのアセトアミノフェンがNAPQIに代謝されるのではありません。
アセトアミノフェンをNAPQIに変換する酵素はcytochrome-P-4502E(CYP2E1)です。この酵素は以下の要因で活性が誘導されます。
・喫煙
・肥満
・塩化ビニルの曝露
・トリクロロエチレンの曝露
つまり、喫煙者や肥満である個人では、アセトアミノフェンは毒性代謝物であるNAPQIに代謝されやすくなっています。
より肝障害を誘発しやすいでしょう。
喫煙者が風邪を引いた。そして市販の総合感冒剤を服用する。これをたびたび繰り返すとします。
・・・肝障害の引き金となります!
また、NAPQI増加に伴い、肝細胞内のグルタチオンが消費されるため肝障害が引き起こされます。
では、グルタチオンって何・・・?
グルタチオンは、アミノ酸のグルタミン酸・システイン・グリシンが結合したトリぺプタイドです。システインの持つSH基の作用から、有害重金属や毒物の解毒作用があります。
この三つのアミノ酸はグルタミン酸・システイン・グリシンの順番で結合しています。この結合が外れていしまえば、グルタチオンとしての機能を失うことになりますが、グルタチオンはペプチドでありながら、ほとんどのプロテアーゼに対して耐性であり、分解されません。
グルタミン酸とシステインの結合が通常のペプチド結合とは異なり、非常に強固な結合を持つγグルタミル結合であるためです。
*グルタミン酸は興奮毒性のあるアミノ酸ですので、過剰摂取は大きな問題を起こします。しかし、それは単離されているグルタミン酸が対象です。食材中のグルタミン酸は他のアミノ酸と強固に結合しているし、生体内では厳密にバランスが管理されていますので、なかなかグルタミン酸過剰症状が出現することは少ないはずです。しかし、グルタミン酸が多く含まれる食材を過剰に摂取すればグルタミン酸の問題に繋がる可能性はありますので注意が必要です。
グルタミン酸が脳血液関門を通過しないというのは、食材由来の他のアミノ酸と結合しているグルタミン酸です。MSGなどの単離されているグルタミン酸は脳血液関門を容易に通過し、脳に興奮毒性を引き起こします。結果、脳神経細胞死につながる原因になります。
アセトアミノフェンは脱アセチル化によりpアミノフェノールを形成します。これはAM404と呼ばれる複合体に変換され(アラキドン酸と反応し、活性なカンナビノイド物質に変換される)精神神経症状の原因になります。
カンナビノイドって何?
カンナビノイドは大麻に含まれる化学物質の総称です。
カンナビノイドは窒素を含まず、酸素・水素・炭素からなるのでアルカロイドには分類されません。
時間や空間感覚の変調をもたらし、多幸感・鎮痛・幻覚等の精神神経反応を引き起こす物質です。
2013年2月20日、厚生労働省は幻覚や興奮作用などがある脱法ドラッグに使われる「合成カンナビノイド類」を指定薬物として包括指定する厚生労働省令を公布し、2013年3月22日から施行されています。
アセトアミノフェンはAM404による脳内在性カンナビノイド受容体CB1の活性によって鎮痛作用を示します。
自閉症に示されているようにグルクロン酸抱合(肝臓解毒フェーズⅡ)が損なわれているような硫酸化経路である場合には、アセトアミノフェンはますます代替に変換され、より毒性の高い化合物であるNAPQIとAM404の産生増加に向かわせてしまうのです。
<絶食時のアセトアミノフェン予防投与によるワクチン接種の危険性>
絶食はケトン体産生の増加とともにCYP2E1酵素活性を増加させます。このことがNAPQI産生を増加させ、グルタチオン産生のためのアミノ酸基質を減少させてしまいます。
絶食時のアセトアミノフェン予防投与によるワクチン接種は、アセトアミノフェン毒性を被る可能性があります。
また有効な免疫応答のために必要なグルタチオンの不足による弱毒株ウィルスワクチンでのウィルス感染につながる可能性もあります。
<遺伝子的にもアセトアミノフェンは肝障害の原因となる>
薬物代謝関連酵素関連遺伝子cytochrome-P-4502E(CYP2E1)およびGSTM1の遺伝子多型と、アセトアミノフェン摂取による肝障害発症の関連は新潟大学坂爪らによって論じられています。その論文中で、「GSTM1遺伝子は正常人の約半数で欠損していると報告されている」と述べています。
アセトアミノフェン由来の毒性代謝産物の解毒排泄には、グルタチオンが重要です。GSTM1遺伝子の変異は、よりNAPQIによる肝障害性を誘発することになります。つまり、正常人の半数は、アセトアミノフェンに対して肝障害を誘発しやすいということになります。
忠告!!
毎月毎月、生理痛のたびにアセトアミノフェンを服用する女性・・・しかも喫煙している・・・危険です!
免疫が効率よく発動するために発熱が生じているのですから、わずかな体温の上昇で解熱剤を飲む方が問題であるということを理解しておきたいです。最近では手軽に様々なドラッグが入手できてしまいます。医師の処方でなくても危ない薬はたくさんあります。
薬物に手を出す前に、もう少し考えてみましょう。
必ず、生体に安全でしかも自然な免疫サポートができるはずです。
<豆知識として>
いわゆる「ACE処方」って・・・?
APAPは単体では効き目が弱いため、エテンザミド(サリチル酸)とカフェインを加えることで効果が高まるように設計されています。
これをいわゆる「ACE処方」といいます。
A:アセトアミノフェン
C:カフェイン
E:エテンザミド
どれをとってもあまり良いものではありませんよね・・・
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