自閉症とキレーション療法
自閉症およびその類似疾患は「自閉症スペクトラム:Autistic Spectrum Disorder:ASD」と言われています。
ひとくくりに自閉症といっても、その中には様々な症状が含まれているということを意味しています。
自閉症、特定不能の広汎性発達障害などの各疾患を広汎性発達障害の連続体の1要素として捉えたもののことであり、自閉症連続体、自閉症スペクトルなどとも言います。
<自閉症の典型的な特徴は・・・>
・対人的相互関係の障害
・言語の発達の異常
・反復常同時あるいは執着的行動
と定義されています。そしてこれらが生後3年以内に見られる場合を自閉症とし、この条件を満たさないものは、非定型自閉症として「自閉症スペクトラム」の中に包括されます。
「自閉症は、遺伝性、感染性、さらに環境的な原因から生じる多因子性疾患」であり「原因は脳内の情報処理機構(言語や感情)の障害」といわれています。
遺伝的要因としては、自閉症の子供たちの多くはMTHFR(メチレンテトラ葉酸還元酵素)やCOMT(カテコール‐O‐メチル基転移酵素)やCBS(シスタチオニンβ合成酵素)の遺伝子に異常が見いだされます。
例えば、MTHFR遺伝子の変異により、通常の葉酸では反応が進まず、神経系の修復が進みません。さらに葉酸が滞り分解されるとグルタミン酸を放出します。特殊な葉酸を摂取する必要があります。また、神経系にはビタミンB12も大量に必要になります。
そして、神経障害のまさに原因ともいえるのは重金属です。米国や欧州ではワクチンに防腐剤として含まれているチメロサール(水銀化合物)と自閉症の関連は問題になっています。
また、妊娠時の母体口腔内におけるアマルガム充填(銀歯)からも水銀、鉛が胎児へと移行してしまいます。
予防においてアマルガム除去、そして母体の重金属検査は必須の時代です。
水銀、鉛、ヒ素、カドミウムなどの重金属が肝臓における解毒能力を阻害してしまっています。肝臓解毒フェーズⅠにおけるチトクロームP450の阻害、フェーズⅡにおけるグルタチオンの阻害が重金属によって生じてきます。
重金属検査の毛髪メタル検査では、解毒排泄機能の低下している自閉症の子供では、水銀や鉛が排泄されずらくなっているため、検出されない場合があります。また、アセトアミノフェンの影響で毛髪中への水銀は説が低下してしまうこともあります。毛髪メタル検査のみで重金属の診断を行う事はできません。
しかし、DMSA(キレート剤)による負荷試験では検出される可能性は非常に高いです。ただ、感染症によりウィルスや細菌に重金属が抱合している場合にも重金属が検出されにくい場合があります。
CBS遺伝子やNOS遺伝子に変異があるお子さんでは、DMSAやDMPSなどの硫黄を含んだキレート剤では負担が大きすぎる可能性もあります。Dr.Amy YasukoはキレーションにEDTAを好んで使用します。
体内でウィルスの慢性増殖を起こしていることの多い自閉症スペクトラムのお子さんにとっては、メタルRNA+EDTAが最適なキレーション療法である場合もあります。
さらに自閉症スペクトラムのお子さんでは、消化器症状がほぼすべての患者に見られます。腸管における炎症も神経の炎症の原因にもなりえますが、重金属を排泄させる際に、腸内環境の悪さは非常に問題になってきます。キレーション治療開始前に必ず便検査を実施し腸内環境に対するアプローチを行う必要があります。
キレーション療法が改善のためにはメインのサポートになってきます。ARI(Autism Research Institute)のDAN!(Defeat Autism Now!)計画のコンセンサスレポートには水銀解毒排泄療法(キレーション治療)がもっとも高い評価を得ています。
キレーション療法に入るまでに、ステップを踏まなくてはなりません。治療期間もかかります。
しかし、確実に言えることは、自閉症は治癒不能の疾患ではなく、改善は可能であるということです。